今や綺羅星の如き人気生産者達が誕生した事で世界中のワインフリーク達から注目を集める様になった南オーストラリアのバスケット レンジですが、ほんの数年前までは誰からも特建て扱われる事が無かった小さく静かなコミューンでした。アデレード ヒルズという、同州にしては冷涼でエレガントなワインで知られる地区に於いて、その存在は知る人ぞ知るマイノリティだったのです。バスケット レンジ ワインは、その小さな衛星地区で最も古くに誕生したオリジナル。フィル ブローデリックのボルドー愛故に植えられたCabernet SauvignonやMerlot、Petit VerdotやMalbecを駆使してクラシックなクラレットを年間数百ケースだけ細々と作り続けて来たのです。そして今何が起きているのかを垣間見ると実に興味深い状況にあるのが、この同地最古のワイナリー。第二世代である息子達が、彼らにとって生まれ育った故郷の地ワインが持つ、当り前な日常の味わいを目指しながら父親とは若干違ったワインを作り始めたのです。ショルトとルイスの兄弟がワイン作りを学んだのは、彼らにとって最も近所にあるルーシー マルゴー。ナチュラルなアプローチが日常にある環境で育った彼らだからこそ出来る、自然体のワインが誕生しています。自身とは違う姿勢を目指す息子達の背中をしっかりと押す父。そしてそれに応える兄弟。まだビンテージ2年目の新世代がどんな進化を遂げるか乞うご期待です。